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キャンパス紹介日本税理士会連合会による寄附講座(平成30年度・第2回)を開講しました

~我が国の税制,税金の役割~
 
 平成30年10月11日,平成30年度第2回目となる日本税理士会連合会による寄附講座を開講しました。
 当日は旭川中税務署税務広報広聴官の新井智貴氏をお招きし,「わが国の税制・税金の役割」と題した講義が行われ,「わが国の税制(税金の種類と特徴)」「税の役割(使われ方)」「租税教育」の3点についてお話いただき,学生からの質問にも回答いただきました。
 「わが国の税制(税の種類と特徴)」では,日本における税の分類と直接税・間接税の特徴について説明いただきました。国税や道税,市町村税を含めて50種類もの税があり,それぞれの税が課されることで公平な税負担を実現できるとの解説を踏まえ,公平さに根付いた現行税制を確認することができました。また,漁師が捕獲した魚を例に挙げて,消費税課税のシミュレーションが行われました。漁師が魚を得てから消費者の手にわたるまでの過程で,どれだけの税金が課されるのかを具体的な数字で学び,消費税課税に対する理解が深まりました。
 「税の役割(使われ方)」では,税は「資源配分の調整」「所得の再配分」「景気の安定化」の3点に寄与していることを学ぶことができ,税金は様々な公共施設の建設・維持管理,公共サービスの提供に使われており,言い換えれば,税は私たちが健康で文化的な生活を送るための「会費」であることが理解できました。税への認識を高める例として教育費を取り上げ,小学校から高校までの12年間にかかる教育費は一人当たり計1362万円です。自分たちが何気なく受けてきた学校教育の対価の重さを感じるとともに,改めて教師を目指す学生たちは責任をもって児童・生徒一人一人を大事に育てていく思いが強くなったようです。
 「租税教室」では小学校の授業実践DVDを視聴しました。授業ではクイズを取り入れ,具体的な内容としては警察署や市役所,市民プール,デパートなどの身近にある施設を並べ,これらが税金で建設されているかどうかを質問するといったものでした。動画中の子どもたちがクイズの答えに驚いている様子や,クイズの答えを見つけようとしてパンフレットを一生懸命にめくっている姿を目にして,児童の税への関心を高める授業構成の工夫を感じ取ることができました。また,税制という目に見えない抽象的な概念を小学校段階の子どもたちに教えるにあたり,まず興味・関心をもたせることが大事だという税務広報広聴官の考え方は,学生たちが学習指導案を作成する上で留意すべき点でもあります。
 最後の質疑応答では,①「宝くじには税金がかからないと聞いたことがあるが,どういった仕組みになっているのか」,②「社会に出るまで十分な租税教育を受けられなかった人もいるなかで,社会人向けの租税教室は開催されているのか」,③「『税金は会費である』という表現は,納税が義務感の伴わないものであるという誤解を与えてしまう可能性がないか」,④「自営業の場合は自分で所得を計算したうえで税額を算出しなければならないが,不正に納税額を低く計算した場合はどうなるのか」という4つの質問が挙げられました。①については,「当せん金付証票法13条の規定により所得税はかからない」,②については,「社会人向けの講座も開講されている」。③については,「税制は抽象的な概念であるため,イメージのしやすさや理解を促すことを目的としてこのような表現を用いている」,④については,「不正を行うケースもあるが,もし不正が発覚すれば罰則がある。国税査察官(マルサ)が調査し,国側が告訴して裁判を行うケースもある。」と,それぞれ回答いただきました。
 今回の講義でも,あらためて納税の意義を考えることができました。加えて,現実的に考えれば公共サービスの提供とその質を維持していくためには,それを保障するための資金が必要になるのは言うまでもありません。そして,それは日本国憲法に記されているように,国民全員が豊かで文化的な最低限度の生活を営むためのものです。
 教師として税制について深く考えられるように働きかけていくのは重要な任務であること,適切な説明ができるように教師自身が理解していく必要性があることを感じることができた講義となりました。


旭川中税務署税務広報広聴官の新井智貴氏


講義で使用した「教育費」のデータ


受講の様子
 

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