旭川校 寺田栄教授が
「中原悌二郎賞優秀賞」を受賞


 本学旭川校の寺田栄教授が「第34回中原悌二郎賞優秀賞」を受賞されました。
 中原悌二郎賞は,旭川市ゆかりの彫刻家で日本の近代彫刻史に偉大な業績を残した中原悌二郎を顕彰し,併せて日本の彫刻界の発展に寄与する目的で1970年(昭45)に旭川市が創設した彫刻の全国賞です。この賞は,日本国内で発表された日本人作家の優れた作品の中から,中原悌二郎賞1点,同優秀賞1点(複数時期もあります)を選び,中原悌二郎の誕生日である10月4日(又はその前後)に旭川市で贈呈式を行っています。彫刻専門の賞としては日本で最も長く続けられ,権威のあるものと評価されており,受賞作品のコレクションは日本の現代彫刻の流れを一望できるものとなっています。(中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館のホームページより引用)

寺田栄教授から
寺田栄教授
寺田栄教授
 此の度第34回中原悌二郎賞優秀賞を受賞することが出来大変嬉しく思っております。この賞は旭川ゆかりの彫刻家である中原悌二郎を記念した賞であり,今迄現代日本を代表する彫刻家が数多く受賞されています。中原賞が創設されたのは丁度私が彫刻を志し学生として石彫を始めた時期と重なっています。当時,私達若手にとっては遥かに縁遠いものであると思っていましたが何時かは候補にと励んで来ました。
 旭川に在住し制作活動を続け周囲の応援に支えられた結果が,今回の受賞に繋がりました。学生の時から一貫して石を素材とした作品を作り続け30余年が経ち,今迄移り住んだ様々な土地の空気や景色を肌に感じ,その手触りを作品に反映したいという思いを込めて制作に取り組んで来ました。
 10年程前旭川校に着任し,当初は冬季のあまりの積雪にノミを持つ手が止まり,それを自分のなかで納得し冬の過し方が少しずつ分かってきた頃には5年が経っていました。受賞作品〈石走る(いはばしる)>は昨年旭川市彫刻美術館において開催した展覧会「寺田栄彫刻展:風景に触れる」にて発表した作品が対象となりました。この展覧会は私にとって初めての個展であり,旭川での作品制作のペースがつかめるようになった近年5年間の作品を展示しました。タイトルの〈石走る(いはばしる)>は周知のように万葉集にある志貴皇子の一首「石走る垂水の上の早蕨の…」より命名しました。私は以前より作品を「風景」というタイトルで通してきました。その意味は作品と置かれた場と見る人達により新たな風景が現れるという思いからです。今回この作品はその中から発展したシリーズとして,緩やかにうねる曲面に溝を彫り込みその稜を立てることにより水の流れを表し,見る人達に視覚のみならず触覚をも誘う作品を目指してきました。旭川に住むようになってからは特に水の変化や循環に強く心を魅かれ,その表情をいかに表現するかに腐心しました。この作品においても恰も水の中に手を浸すように石に刻まれた溝に手を触れてもらえればと思います。作品は旭川市彫刻美術館の前庭に設置されることになりました。
 旭川校内で木々の緑の中移り変わる季節とともに困難な状況にも折り合いを付けながら制作し,自分もそうであったように,制作する後ろ姿を通して後に続く人達に少しでも創作の楽しさを伝えることが出来ればと思い,現在も次回作に向けて石にかじりついています。


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