デートDVを知っていますか?
みなさんは、「デートDV」という言葉を聞いたことがありますか?最近、話題になっている「親密な関係にある若者の間の暴力」のことです。DVとは、Domestic Violence(ドメスティック・バイオレンス)の略で、本来は結婚している夫婦間の家庭内暴力を意味していました。ところが近年、中高生やみなさんのような大学生の恋人どうしの間でも暴力が頻繁に起こっており、ひどい場合は傷害・殺人事件に至るケースもあることから、「デートDV」として注目されるようになりました。多くは男性から女性への暴力ですが、女性から男性へという場合もあります。
デートDVの具体例
デートDVの内容は、主に次の4つに分類されています(札幌市男女共同参画室作成のリーフレットより。一部改変)。- 身体的暴力:殴る、蹴る、つねる、たたく、髪の毛を引っ張る、物を投げつける、身体をおさえつける、首を絞める、など。
- 性的暴力:キスや性行為を強要する、ポルノなどを無理矢理見せる、避妊に協力しない、性行為について他人に話す、など。
- 経済的暴力:アルバイトをさせたり辞めさせたりする、お金を出させる、借りたお金を返さない、第三者に借金をさせる、など。
- 精神的・社会的暴力:ののしる(「バカ」など)、身体的特徴をあげつらう、繰り返し批判する(「なんでそんなこともできないんだ」など)、皮肉や嫌味を言う(「そんなことも知らないのか」など)、友達づきあいを制限する、携帯電話の通話履歴やメールを勝手に見る、「別れる」「自殺する」と言って脅す、など。
デートDVの影響
このような暴力を受けると、被害者には様々な影響が出ます。まずこころへの影響としては、気分の落ち込み、自分はダメだと思う、暴力を受けたのは自分のせいだと思いこむ、死にたくなる、などが挙げられます。次にからだへの影響としては、怪我をする、頭痛・吐き気がする、意味もなく心臓がドキドキする、ちょっとした物音に驚く、性感染症や妊娠・中絶のおそれがある、などです。
さらに、人間関係にも影響が出ます。「他の男とは口をきくな」「飲み会には出るな」などと交際範囲を制限された場合は(上記4に該当)、孤立しがちです。そうすると、恋人に依存するしかなくなります。その結果として、学校・大学にも自由に行けなくなることがあるのです。
被害者はなぜ逃げないのか?
暴力を受け続けた被害者は、「絶対に逃げられないのだ」と無力感を学習してしまいます。また、被害者が「彼の暴力癖を私が治してあげないといけない」と感じていることも、多々あります。さらに、別れ話を持ち出したとしても、「もう二度としない」と泣いて謝られ、つい許してしまうということが繰り返されて、やはり逃げられなくなってしまうことが少なくありません。どのように対応すればいいのか?
まず、これを読んで「ひょっとして自分はデートDVを受けているかもしれない」と思った人は、すぐに親・友人・教職員・保健管理センターなどに相談して下さい。相談された人は、「束縛は愛されている証拠だよ」などと絶対に言わないで下さい。たとえ恋愛関係にあっても、相手の人格を否定したり、友人関係を制限したり、性行為を強要したりすることは決して許されないことだと、はっきり言ってあげて下さい。
深刻な暴力が起きている時には、警察に連絡することも必要になります。学生だけで解決せずに、必ず近くの教職員や保健管理センターに相談して、解決策を一緒に模索するようにして下さい。