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平成20.10.8 大学生における感染症の新たな問題

感染症とはいわゆる「うつる」病気で、結核に代表されるように、かつてはわが国の最も重大な死亡原因でした。発展途上国ではいまだに多くの人々が感染症で命を落としており、また、大地震や暴風雨など大きな自然災害に襲われた地域で「今後は感染症の発生が心配されます。」などと報道されることがあります。

衛生状態の改善、予防接種の普及、抗菌剤の開発など、感染症対策は進歩を続けていますが、一方で新たな問題が起こっており、その代表が麻疹(はしか)と百日咳です。両者の共通点は(1)かつては子ども特に乳幼児の病気と思われていた(2)予防接種の普及により患者数は減少が続いていた(3)昨年から10代と20代を中心とした流行が起こっていることです。予防接種で抗体ができても、その後に自然のウィルスや菌に出会わなければ、予防接種の効果(免疫)は次第に弱くなり消失してしまいます。麻疹も百日咳も、予防接種の普及により患者数が減少しましたが、そのために自然のウィルスや菌に出会って免疫が強化されるブースター効果が起こりにくくなったのです。このことは実は数年前から問題視されており、麻疹については、満1歳時だけだった定期予防接種を小学校に入る前の1年間にもう1回、つまり予防接種を2回することで免疫を強化することが平成18年から始まりました。さらに、昨年の流行で高校生や大学生に多く患者が発生したことを受け、今年から5年間、中学1年か高校3年で追加接種をすることになりました。大学生はこうした追加接種の対象になりませんので、北海道教育大学では全ての学生と教職員に抗体検査を受けさせ、抗体陰性者にはワクチン接種を勧めるという対策を自主的に実施しました。百日咳は成人用のワクチンが日本ではまだ認可されていませんので、早めの診断、治療開始しか対処方法はありません。

「うつる」病気である感染症は、自分にうつらないようにすることはもちろんですが、他人にうつさないことがさらに重要です。ワクチン接種や早めの受診、そして症状がある時は外出しないことは、自分のためだけでなく他人のため、社会全体のためという認識を持ち、その考えを社会に広めて下さい。

麻しんの報告症例の年別・年齢別割合のグラフ
百日咳の報告症例の年別・年齢別割合のグラフ

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