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グローバル教員養成プログラムとは グローバル教員養成プログラムとは

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2021年春に卒業されるグローバル教員養成プログラムの皆さんへ

~パンデミックの時代にあっても,求められるグローバル人材とは~               

                                                 


                           北海道教育大学理事・副学長
                     グローバル教員養成プログラム運営委員長 
                                                              
                                 横 山 吉 樹

 
 卒業おめでとうございます。皆さんは,今春卒業し社会人になりますが,本来であれば一番晴れがましい場である学位記授与式も,コロナウィルスの感染被害に配慮した開催となりました。
 そのため,みなさんに卒業にあたってご挨拶したいと思い,筆をとりました。
 
 本プログラムは,その名称が示すように,グローバル化の時代に求められる教員を養成するプログラムとして教員養成3キャンパスに設置されたものです。
 ベルリンの壁崩壊後,国際経済は自由貿易に向かって進み始め,国境を越えて,貨幣,物資,そして人的資源の移動が拡大してきました。しかしながら,今「グローバル化」を支える基盤が大きくゆらぎ,そのための人材養成という意味合いも,それとともに不透明感が増しています。そういう時代にグローバル人材養成プログラムで学び社会人になる皆さんに対して,このプログラムで学び体験したことを糧にして,グローバル教員養成プログラムの卒業生であるという意識をさらに強く持って社会に巣立ってもらいたいと考えています。
 「グローバル化」という言葉は,今の世の中では,パンデミックを引き起こした大きな要因として捉えられ,負の意味合いが強くなっています。また,新型コロナウィルス感染症は,医学や医療の問題だけにとどまらず,我々の日常の生活習慣までも大きく変え,マスクの着用,ソーシャルディスタンシング,飲食の制限など「不自由」や「窮屈」を強いられるようになりました。さらに,ポピュリズムやナショナリズムを加速させ,国境封鎖や保護主義貿易を後押しし,アメリカ,ヨーロッパなど世界のいたるところで,移民や難民などの弱者への差別と攻撃が増しています。また,世界の国々は孤立化し,互いに覇権を唱え,新型コロナウィルスのワクチンでさえも輸出取引の材料にされようとしています。そこには,一つの国がいくら集団免疫を獲得しようとも,それではパンデミックは終わらない,そんな自明の理を無視する自国中心主義が罷り通っています。
 そのため,いつの間にか,コロナウィルス感染症とともに,「グローバル化」まで悪者扱いにされることが多くなってしまいました。しかしながら,グローバル化という言葉がいかに悪者扱いにされようとも,グローバル化によって引き起こされた問題は,そのための生み出されたアプローチでないと解決できないという認識も広がっています。つまり,グローバル人材に求められる「立場の違いを超えて相互理解を深め,協働する」という精神は,パンデミックであるからこそ,より一層必要なこととして見直されています。
 皆さんは,こういう時だからこそ,我々がグローバル化から学び取った知恵,これまでのパンデミックや戦争から学びとった知恵を忘れてはいけません。我々人類が,この世界的な脅威から,何を学び,そしてどのように新たな世界を構築していくのか,試される時が来ています。この迫りくる脅威を,一部の国のせいにして,国境を封鎖し,富める国だけがその難を逃れ,貧しい国は置き去りにしたという,これまで繰り返してきた歴史が再び繰り返されてはいけません。グローバル化という時代であるからこそ,我々は,これまでの不幸な歴史から学ぶべきであり,国と国,人と人との協働の新たな姿が必要とされるということを肝に命じなければいけません。
 ノーベル賞受賞者のカーネマンは,認知心理学の知見から,パンデミックのような世界的な脅威を目の当たりにすると,人々は2つの思考回路を用いてそれに対応しようとすると言う。一つは,「早い思考」回路というもので,感情優先で本能的な反応を返すものである。一般的には感情的な反応は素早く強力で,多くの人の理性を麻痺させる。残念ながら,日本人の中にも,原因となった国とその国民を責め,その国に対して報復措置をすることを声高に主張する人も多い。報復という行為は,「早い思考」回路を用いた感情を優先する本能的な反応であり,そこからは何ら解決策を生み出すことがないことを知るべきである。
 一方,我々人類には,解決策を生み出す思考回路も備わっている。それは,カーネマンによると「遅い思考」回路と呼ばれ,事実とその原因を客観的に明らかにしようとする理性の働きである。この回路によって,我々人類は,この世界的な脅威から何を学び,そして,何を教訓として,これからの世界を築いていかなければならないかを思考することができる。
 皆さんには,是非この「遅い思考」回路によって,これからの新たな世界を模索し創造していただきたい。それが,グローバル化時代に生きる我々の役目であり,人類に備わったより良き未来のための唯一の方策であるのだから。

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