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体力の向上と学業成績の改善に関する研究結果について

2021年4月16日

 岩見沢校の森田憲輝教授をはじめとした研究グループが、「Differential effects of changes in cardiorespiratory fitness on worst- and best- school subjects(体力が学業成績に与える効果は苦手科目と得意科目で異なる)」という論文を発表し、「npj Science of Learning」誌において2021年4月1日より公開されています。
 研究の概要は以下のとおりです。
 

「体力向上によって改善する学力とは?」

-苦手科目と得意科目で異なる効果-

研究成果のポイント
  • 中学1年生から中学3年生にかけての体力の変化と学業成績の変化がどのように関係しているのかを、苦手な科目と得意な科目の違いに着目して明らかにしました。
  • 中学1年生から中学3年生にかけて、体力が向上すると主要5教科の最低評定値が向上する(苦手科目の学業成績が改善する)ことが示されました。
  • 体力の変化は最高評定値の変化には関わらない(得意科目の学業成績に悪影響を与えない)ことが示されました。
  • 本研究は、体力の向上が学力に与えるプラスの効果が苦手な科目と得意な科目で異なることを初めて示しました。
 過去15年間にわたる研究によって、子どもの体力と学力の関係が盛んに研究されてきました。しかしながら、見解は一致しておらず、子どもの体力向上が学力にプラスに作用するのかどうか未だ結論に至っていない状況にあります。この一因を解明するため、本研究では科目の違いに注目しました。その結果、体力向上が学業成績に与えるプラスの効果は、苦手科目に選択的に認められることが明らかになりました。
 本研究では、469名の中学生を1年生時から3年生時まで2年間追跡し、体力(全身持久力)と苦手科目・得意科目の学業成績(国語・社会・数学・理科・英語の最低評定値と最高評定値)の変化の関係を調べました。体力以外の学業成績に影響を与える要因であるBMI、社会経済要因(両親の学歴と世帯収入)、放課後の勉強時間を同時に調査し、それらの影響を統計学的に取り除いて分析しました。その結果、中学1年生から中学3年生にかけて体力が向上すると、苦手科目の学業成績が改善(主要5教科の最低評定値が向上)することが示されました(図1)。一方で、体力の変化は得意科目の学業成績(主要5教科の最高評定値)の変化には関わっていませんでした。この結果から、体力の向上をもたらすような習慣(運動部活動の練習など)は苦手科目の学業成績に好影響を与え、得意科目の学業成績に悪影響を与えないと推測されます。
 今後は、なぜ苦手科目に対してプラスの効果が選択的に認められたのか、その要因を明らかにしていきます。また、このような科目の違いに注目することによって、研究間の矛盾が解消されることが期待されます。
 本研究は森田憲輝(北海道教育大学岩見沢校)、石原暢(神戸大学)、そして紙上敬太(筑波大学=論文投稿時、現中京大学)らの共同研究によって実施されました。論文は「npj Science of Learning」誌にて2021年4月1日より公開されています。


研究成果の概要


1. 体力の変化と苦手科目(左)・得意科目(右)の学業成績の変化の関係.
 縦軸は学業成績の変化、横軸は体力の変化を示している(標準化した得点)。2年間で体力の向上が大きかった子どもほど苦手科目の成績(主要5教科の最低評定値)の向上が大きかった(左図)。一方、このような体力の変化との関係は得意科目(主要5教科の最高評定値)では統計学的には認められなかった(右図)。


本件の問い合わせ先
北海道教育大学岩見沢校 スポーツ文化専攻 教授 森田 憲輝(もりた のりてる)
TEL&FAX: 0126-32-0393  
E-mail:morita.noriteru@i.hokkyodai.ac.jp
 

 

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