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「双子の星」は「こと座ε星」:釧路校教員が宮沢賢治作「双子の星」のモデルとなった星についての新説を発表しました

2019年9月20日

 「双子の星」は、宮沢賢治の最初期の童話の一つとして知られており、また、賢治の代表作である「銀河鉄道の夜」でも、挿入歌の「星めぐりの歌」とともに登場人物が知っている作品として登場しています。
 

図1. 「双子の星」のイメージ(松原准教授によるコラージュ)。写真・図の
              原典については下記の参考資料5を参照のこと。

 この童話の主人公、チュンセ童子・ポウセ童子(図1)のモデルとなった「星」については、これまでにいくつかの説が提唱されてきました(参考資料1)。しかしながら、釧路校の松原尚志准教授(地学)が検討を行った結果、いずれの説による「星」も複数の点で作品中に示されている天文学的データ(参考資料2)とは一致しないことが明らかとなりました。一方、実観測を含めた研究を行った結果、そのモデルとなった「星」は「こと座ε(イプシロン)星」(図2)である可能性が極めて高いことが明らかとなりました。この研究成果は令和元年(2019年)9月22日発行の「宮沢賢治研究Annual」第29巻(宮沢賢治学会イーハトーブセンター)に発表されます。(参考資料3)


図2. こと座ε星の位置(矢印)と周辺の星座(松原准教授撮影)。
 
 「こと座ε星」は「ダブル・ダブルスター」(二重の重星の意味)の愛称でよく知られている重星で、オペラグラスでも4.67等星のε1と4.59等星のε2の青白い二つの星からなっていることが確認できます。口径60mm以上の天体望遠鏡ではさらにそれぞれが2つに分かれて見え、その姿はさながら向かい合う「小さな水精のお宮」とそれぞれに座って銀笛を吹く二人の童子の姿を彷彿とさせるものです(図3, 4)。


図3. 北海道教育大学釧路校天体観測室での観測の様子。


図4. 「こと座ε星」の姿。青白い重星(ε1, ε2)のそれぞれがさらに
               2つの星からなっていることが確認できる。(松原准教授撮影)

 「こと座ε星」については明治〜昭和初期に出版された多くの天文書で図示・解説されていますが、そのうちのいくつかは賢治が学んだ盛岡高等農林学校の旧蔵書として、現在、岩手大学図書館に所蔵されています(参考資料6)。以上のことから、賢治は天文書を通じて「こと座ε星」のことを知っており、「双子の星」では天文書から得た専門的な知識に基づき登場人物の設定やストーリーの構想を行ったことが推定されます。
 「こと座ε星」は夏から秋にかけての季節が見頃となります。秋の夜に賢治の作品に思いをはせながら眺めてみてはいかがでしょうか?
 
<参考資料>
 
1.「双子の星」のモデルとなった「星」についての従来の説
 ・さそり座の尾の星説(草下英明, 1947など)
 ・ケフェウス座の重星説(須川力, 1979)
 ・ふたご座またはふたご座のα・β星(カストルとポルックス)説(原 子朗,1989, 1999など)
 ・ペルセウス座の二重星団 h-χ(エイチ-カイ)説(竹内 薫・原田章夫,1996)
 
2. 作品中の「双子の星」に関する天文学的データ
 ・位置:天の川の西の岸
 ・光度:小さい(=明るくない)
 ・色:青白い
 ・その他の特徴:明るさがほぼ同じ重星
 ・西側の離れたところにかんむり座がある
 ・さそり座の星ではない
 ・天球の北半球側にある
 ・夏の星座とともに見える
 
3. 論文の文献情報
 松原尚志「「双子の星」のモデルとなった星は何か?─天文学的観点からの新説─」.『宮沢賢治研究Annual』 第29巻,2019年.
 
4.「こと座ε星」に関する解説のある明治〜昭和初期に出版された天文書
 ・ロックヤー(内田正雄・木村一歩訳)『洛氏天文學 上巻』(文部省、1879)*
 ・日本天文学会編『恒星解説』(三省堂、1910年)*
 ・一戸直蔵『星』(現代之科學社、1910)*
 ・一戸直蔵著『趣味乃天文』(現代之科學社、1916)
 ・吉田源治郎著『肉眼に見える星の研究』(警醒社、1922)
 ・古川龍城著『天文界之智嚢』(中興館書店、1923)*
 ・古川龍城著『星のローマンス』(新光社、1924)
 ・古川龍城著『最新天文學の知識』(白揚社、1924)*
 ・野尻抱影著『星座巡礼』(研究社、1925)
 ・野尻抱影著『肉眼・雙眼鏡・小望遠鏡観測:星座めぐり』(研究社、1927)*
 *付のものは岩手大学図書館に所蔵のあるもの
 
5. コラージュ(図1)で使用した写真・図の原典
(a) チュンセ童子とポウセ童子:
 「賢治(六歳頃)と妹とし子」.『宮澤賢治全集』第五巻.筑摩書房(1959).
(b) 彗星および海星(ひとで)の顔
 Georges Méliès 『Le Voyage dans la Lune』(邦題:『月世界旅行』)(1902).
(c) カラス
 Yves Hoebeke撮影.
(https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Corvus?uselang=ja#/media/File:Kraai-2_(28647746175).jpg)
(d) さそり
 Já撮影.
(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Hadogenes_paucidens_(025).jpg)
 Hadogenes paucidens(025).jp
(e) うみへび
 Johannes Jonston: Historiae Naturalis de Serpentibus: Libri II.
 Johannnem Jacobi Fil. Scipper, Amsterdam. (1665).
(f) くじら
 Edomund Selous: The Bird Watcher in the Shetlands, with Some Notes on Seals and Digressions. J.M. Dent & Co., London / E.P. Dutton & Co., New York.(1905)
(g) フルート
 Rillke撮影.(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Flute.jpg)
 

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