NEWS(プレスリリース)中学生の運動・スポーツの継続と学業成績の向上に関する研究結果について
2020年5月21日
岩見沢校の森田憲輝教授をはじめとした研究グループが、「Relationship of participation in specific sports to academic performance in adolescents: A 2-year longitudinal study(中学生の運動・スポーツ参加と学業成績の関連:2年間の縦断的研究)」という論文を発表しています。その概要は、以下のとおりで、研究結果について「Scandinavian Journal of Medicine and Science in Sports」誌で2020年4月29日よりオンライン公開されています。
中学生の運動・スポーツの継続は学業成績の向上と関連
研究成果のポイント
- 中学1年生から中学3年生にかけての運動部活動・スポーツクラブの継続と学業成績の変化の関連を明らかにした。
- 本研究は2年間の追跡調査で、中学1年生から中学3年生までの運動部活動・スポーツクラブの継続が体力向上を介して学業成績の向上と関連することを明らかとした。
- スポーツ種目間で運動部活動の継続と学業成績の向上効果に差異が認められた。
- 運動部活動・スポーツクラブを中途退部・退会をすると、それらと学業成績との関連が弱まった。
研究成果の概要
体力と学業成績の間には正の関連性があることはこれまでに報告されているもののその多くは同一個人の変化を調べていなく、体力の高い生徒が学業成績も高いという傾向を示しています。そのため、体力が上がると学業成績も向上するのかどうかは明確ではありませんでした。また、スポーツ種目によってその関係性に違いがあるのかについてはこれまで不明でした。そこで当研究グループで、運動部活動・スポーツクラブ等への所属・継続、それによる体力向上、そして学業成績について2年間追跡調査し、それらの関係性を明らかにしました。 本研究では、463名の中学生を1年生時から3年生時まで追跡し、その間の運動部活動・スポーツクラブ等所属状況、体力(全身持久力)と学業成績(国語、社会、数学、理科、英語の5教科評定合計)の変化の関係を分析しました。学業成績に影響を与える要因である社会経済要因(両親の学歴と世帯収入)、放課後の勉強時間やスクリーンタイムなどを同時に調査し、それらの影響を統計学的に取り除いて分析を行いました。 その結果、運動部活動・スポーツクラブ等に所属・継続することで、体力が向上し、それを介して中学3年生時の学業成績が向上するという関連性が認められました。スポーツ種目間でその関連性に違いがあり、個人種目と複雑な動作を伴うスポーツ種目では体力を介さずに直接的にも学業成績の向上と関わっていました。この結果は、個人種目と複雑な動作を伴うスポーツ種目では体力向上以外の学業成績を高める効果があることを意味しています。さらに、中途退部をすると体力向上が軽減され、学業成績への好影響が弱まることが示されました。 これらは運動部活動・スポーツクラブ等の継続が中学校期の学習効果を高める活動となることを示しています。 本研究結果は「Scandinavian Journal of Medicine and Science in Sports」誌にて2020年4月29日より公開されています。 |
本件の問い合わせ先
北海道教育大学岩見沢校 スポーツ文化専攻 教授 森田 憲輝(もりた のりてる)Tel&Fax:0126-32-0393
E-mail:morita.noriteru@i.hokkyodai.ac.jp