NEWS(研究活動)岩見沢校教員の間欠高酸素トレーニングの持久力向上効果に関する研究論文が国際的学術雑誌「Physiological Reports」に掲載されました
2026年7月17日
岩見沢校スポーツ文化専攻・鈴木淳一教授の研究論文「Effects of different oxygen concentrations during intermittent hyperoxic training on endurance capacity in well-trained male mice (異なる酸素濃度を用いた間欠高酸素環境下の運動が幼若期からトレーニングを積んだマウスの持久的運動能力向上に及ぼす効果)」が、国際的学術雑誌 Physiological Reports (英国生理学会刊行、Impact Factor = 2.1; Cite Score = 3.1)に掲載されました(DOI:10.14814/phy2.71020)。研究の概要
背景と目的
これまでに発表した研究論文において、 (https://www.hokkyodai.ac.jp/info_topics_hue/iwa/detail/19758.html, https://www.hokkyodai.ac.jp/info_topics_hue/iwa/detail/20382.html) 間欠高酸素環境下(30%/21%)での持久的トレーニングは、有酸素代謝能力、特に脂肪酸とピルビン酸の代謝能力を顕著に高めることが判明し、持久力の向上に有効な手段であることを示した。一方、持続的な高酸素環境下(30%)のトレーニングでは、顕著な効果は観察されなかった。 今回の研究では、離乳直後の幼若期から自発的トレーニングを行い、安静群の約7倍に持久的力が向上した「アスリート・モデル(ATM)・マウス」を用い、50%と75%の酸素濃度を用いた反復高酸素環境におけるトレーニングの効果を検証した。実験方法
実験にはマウスを用い、離乳(3 週齢)直後の 5 週齢から、小動物用回転運動装置によって、7週間にわたり自発走運動を負荷した。その後、最大運動能力テストを実施した。テスト結果を踏まえ、運動能力が同等になるよう、以下の 3群に分けて 4週間 (週6日)のトレーニングを実施した。○ET 群:38分間の持久走→4 分間の休憩→38 分間のインターバル走(5秒間走り10 秒間休憩を反復)
○INT50群:常酸素下(21%O2)10分間+高酸素下(50%O2)10 分間を3回繰り返す環境下で ET 群と同じ運動
○INT75群:常酸素下(21%O2)10分間+高酸素下(75%O2)10 分間を3回繰り返す環境下で ET 群と同じ運動
結果および結論
最大仕事量は、INT75 が ETよりも有意に高い値を示したが、その増加量は先行研究 の INT30 と同等であった。INT75 の横隔膜で CS、HAD、CPT2、PFK 活性が、腓腹 筋赤色部位(Gr)と足底筋で PDHc が有意に増加していた。INT75 の左心室では COX4 活性の減少と、PGC1α の発現増加が観察された。INT50 の Gr では、速筋線維の割合が INT75 よりも高い値を示した。本研究の結果より、間欠的な高酸素トレーニ ングの効果は酸素濃度に依存することが判明した。
今後の展望
今回の研究成果は、持久的運動能力の更なる向上を目指す競技選手において、「間欠高酸素トレーニング」が酸素濃度によって、骨格筋や呼吸筋の代謝特性への効果が異なることを明らかにした。今後、様々な競技種目特性に応じた酸素濃度やトレーニング形態を確立するため、さらに基礎的なデータを積み上げていきたい。(本研究は、JSPS 科研費 JP23K10579、JP26K14331 の助成を受けた。 また、論文のオープンアクセス費用は、令和 8 年度北海道教育大学「研究成果発表促進支援経費 (論文公表)」の支援を受けた。)










