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学長 平成28年度卒業式式辞

 
 
 平成28年度の学位記授与式を挙行するにあたり、北海道教育大学の教職員を代表して卒業生・修了生の皆さんにお祝いの言葉を述べさせていただきます。
 本日は、後援会、同窓会をはじめとする、多くの来賓の皆様方、そして保護者の皆様方のご参列をいただいて、平成28年度の学位記授与式を挙行することができました。そのことに対しまして、厚く御礼申し上げますとともに、関係者の皆様方に心よりお祝い申し上げます。

 
 学部卒業、特別別科並びに大学院修了の皆さん、卒業、修了おめでとうございます。本年の学部卒業者は1,210人、特別別科修了者は19人、そして大学院修了者は117人。合計1,346人となります。皆さんはそのうちの一人として、それぞれの誇りと思い出を胸に、今日、本学を卒業・修了し、勇躍社会に巣立っていくことになります。

 雪深く夜が長かった北海道も、冬至からほぼ3ヶ月が過ぎました。日が長くなったことを実感できるようになり、雪解けの早さが日差しの強さを証明しています。確実に春がやってきました。その喜びを感じる一方で、こうして卒業・修了生を送り出すことには、どことなく寂しさが伴います。3月とは、喜び・悲しみが交錯する季節でもあります。

 
 さて、本日ご列席の保護者の皆様。これまで本学の教育研究にご理解いただき、厚いご支援を賜りましたことに対し、心より感謝申し上げます。
 ただ今、学位記授与に際しまして、一人一人名前を呼ばれて立ち上がったご子息・お嬢様の姿を見て、感慨無量な気持ちになられたのではないでしょうか。それぞれの名前の音(おん)と響きに耳を傾け、その字を思い浮かべていますと、自分自身が親としてそうであったように、その名前には親御さんの様々な思いや願いが込められているのだろうと想像されました。
 生まれて間もない頃の記憶、たとえば、手のひらに入ってしまうほど小さかった手の感触、笑う声やその表情、何かを訴える大きな泣き声、抱き上げたときのにおいと重みの記憶、それらはいつまでも消えないと思いますし、親御さんにとりましてはいつまでも子どものような気がすることと思いますが、今、目にしましたように、みんな立派に成長しました。もう少し勉強するという人もいますが、多くの人は、これから社会人としてこの世を生きていきます。酸いも甘いもかみ分けた保護者の皆様におかれましては、今しばらくの間、見守っていただきたいと思います。

 
 本学を卒業・修了される皆さん、少し日本の教育の動きについてお話させて下さい。今、日本では「高大接続」という問題が提起され、高等学校教育、大学教育、それらを接続する大学入学者選抜方法の一体的な改革が進んでいます。とかく大学入学者選抜方法が注目を集めていますが、これはむしろ、平成19年の学校教育法の改正の中で明確にされた、いわゆる「学力の三要素」から構成される「確かな学力」というものを含む、総合的な意味での「生きる力」を育成することを最終的な目標に掲げて進めているものです。そのために、初等中等教育から高等教育までを通じた日本の教育の在り方そのものを見直し、具体策を打ち出して取り組んでいるわけです。その具体化に向けた一歩が「生きる力」を育む学習指導要領であり、平成23年の小学校での実施に始まり、現在に至っています。そして今、まさに高大接続の議論なのです。
 日本における、この教育改革が始まった頃、オバマ・アメリカ前大統領が全米の小・中学校、高等学校の子ども達に向けて行ったスピーチがあります。その中に、先ほど言いました「生きる力」で求められている能力と同じもの、すなわち「基礎的知識」「課題解決能力」「クリティカルシンキング」「創造力」という言葉を見つけ、関心を持って読んでみました。彼は教育の専門家ではありませんが、自分自身の経験を踏まえ、また、アメリカという国の文化を背景に、一国を預かる者という立場から教育について語った内容です。アメリカらしい考え方に基づいていますが、このスピーチの中で私の目を引いた、学校教育の本質的な役割について触れた部分があります。そのあたりから少し紹介させて下さい。 
  I want to start with the responsibility you have to yourself.  Every single one of you
 has something that you're good at.  Every single one of you has something to offer. 
 And you have a responsibility to yourself to discover what that is.  That's the
 opportunity an education can provide.
 そして具体的な例を取り上げてこうつないでいます。
   Maybe you could be a great writer -- maybe even good enough to write a book or
 articles in a newspaper -- but you might not know it until you write that English paper
 -- that English class paper that's assigned to you.
 つまり、「人は、一人一人、それぞれ得意なことや人に提供できる何かを持っていて、あなた方にはそれを自分で見つける責任がある。教育というものが提供できるのはまさにそれを見つける機会なんだ。具体的に言えば、素晴らしい書き手になろうと思えばなれる。それどころか、1冊の本を書く、あるいは新聞に記事を書くほど優秀な記者にだってなれる。しかし、あなたに宿題として課された作文を書いてみないと、その能力についてはわからないでしょう。」
 端的に、学校で行う勉強の意味について、具体例を示しながら子どもたちにわかりやすく伝えていると思いました。
 そしてこう続けるのです。
    And this isn't just important for your own life and your own future.  What you make of
 your education will decide nothing less than the future of this country.  The future of
 America depends on you.  What you're learning in school today will determine whether
 we as a nation can meet our greatest challenges in the future.
 「これはあなた方自身の人生と将来にとって重要なだけではありません。あなた方が教育から何を生み出すかが、まさにこの国の未来そのものを決めるでしょう。アメリカの未来はあなた方次第です。あなた方が今日学校で学んでいることが、私たちが国家として最大の課題に立ち向かうことができるかどうかを決めることになります。」
 このように一人一人の責任、それに対して学校ができることと勉強する意味を示した上で、今紹介した英文の後には、身につけるべき「生きる力」に必要な能力を示し、それら一つ一つを理科や数学、歴史や社会科を学ぶ意味に関連づけながらわかりやすく述べていました。
 初等中等教育から高等教育までの改革を進める議論の中で、それに携わっている私たち当事者も、もっと説明責任を果たしていかなくてはならないと感じました。


 これから教員になろうとする皆さん、皆さんが教えることになる子どもたちの未来は、急速に変化する社会にあって、特に情報通信の高速化をベースとしたIoTや、AI・ロボット、ビッグデータの応用など、先手をとった国や企業が第4次産業革命後の、世界の勝者になると言われている時代です。
 「生きる力」を育成することはもちろん、社会の変化を先取りした教育が必要になります。常に学び続けることが教員としての使命です。
 教員を養成する責任のある本学も、その動きに後れをとることはできません。教えるべき内容、そのための教材、教授法など、研究すべきことはたくさんあります。常に先導的立場で牽引できるように頑張らなくてはなりません。皆さんもいつでも学びに戻って来てください。そのことはお互いにとって大事なことです。


 教員とは別の道を歩まれる皆さん、皆さんは直接的に「第4次産業革命」が進む社会の中に踏み出していくことになります。事業所の数で見れば、国内企業の99%以上が中小企業だと言われています。「第4次産業革命」とは大企業だけの話ではありません。どんな民間企業に就職しようと、あるいは地方自治体に就職するにせよ、産業構造や社会的需要の変化の波が押し寄せています。新しいビジネスモデルを提案し、その中心となって活躍できることを願っています。そのためには、やはり学び続けることが必要になるでしょう。新しく学科になった函館・岩見沢キャンパスを中心として、そんな学びのお手伝いもできると思います。
 これからは自分にとって本当に必要なことの勉強です。それはきっと楽しいはずです。「学びて時に之を習う、亦た説(よろこ)ばしからずや。」。


 今回卒業・修了を迎えた皆さんの中に、全国的なレベルで活躍されている方々がたくさんいます。一人一人名前を挙げ、その内容についても紹介したいところですが、とても紹介しきれません。学生の活躍というのは学長にとってとても嬉しいものです。人それぞれに、それぞれの能力が備わっているという当たり前の事実にも改めて気づかされます。今後も学生の皆さんの活躍を楽しみにしています。


 最後に、卒業・修了する皆さんが、北海道教育大学で学んだことに自信と誇りを持って、大きく飛躍し、多方面で活躍されることを心より祈念し、私の式辞といたします。
 本日は卒業・修了、本当におめでとうございます。





 
        平成29年3月15日
            北海道教育大学長
             蛇 穴 治 夫
 
※記載の英文は、2009年9月8日付け 第44代アメリカ合衆国大統領 バラク・オバマ氏のスピーチより引用(https://obamawhitehouse.archives.gov/blog/2009/09/08/a-message-hope-and-responsibility-americarsquos-students)




 

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